皆さんこんにちは。
HRマネジメント社会保険労務士事務所です。
お盆の時期が過ぎ、仙台では、気温の差が激しい日が続いていますね。
先日、全ての都道府県で地域別最低賃金の答申が行われたため、厚生労働省から発表がありました。
今回は、「地域別最低賃金」について記載してみたいと思います。

【この記事を最後まで読んでわかること】

  • 改定後の地域ごとの最低賃金額
  • 答申のポイント
  • 最低賃金の対象となる賃金
  • 最低賃金の改定にあたっての人事労務上の注意点
  • 豆知識 ~最低賃金の種類~

 

【概要】

  1. 答申での全国加重平均額は昨年度から28円引上げの930円。
  2. 各都道府県毎の改定額及び発効予定年月日は、こちらをご確認ください。
    https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000662334.pdf
  3. 改定額は、令和3年10月1日から10月上旬までの間に順次発効される予定※です。
    ※都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定による。

 

【令和3年度地方最低賃金審議会の答申のポイント】

  • 47都道府県で、28円~30円、32円の引上げ(引上げ額が28円は40都道府県、29円は4県、30円は2県、32円は1県)
  • 改定額の全国加重平均額は930円(昨年度902円)
  • 全国加重平均額28円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
  • 最高額(1,041円)に対する最低額(820円)の比率は、8%(昨年度は78.2%。なお、この比率は7年連続の改善)

 

【最低賃金の対象となる賃金】

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当


※参照元②(厚生労働省 最低賃金の対象となる賃金)から引用しております。

 

【人事労務上の注意点】

  • これらの改定額を踏まえて、パート労働者などの時間給制の方だけでなく、月給制の正社員などの方についても時給換算した上で、最低賃金を下回らないか否か確認を行いましょう。
  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当は、最低賃金の対象とはなりません。時給換算の際には、気を付けましょう。

 

【豆知識 ~最低賃金の種類~】

最低賃金とひとくちに言っても、最低賃金には、2種類あります。
今回取り上げた最低賃金のほか、特定最低賃金という最低賃金もあります。

(1)地域別最低賃金 ←上記のコラムの内容
・産業や職種に関係(かかわり)のない最低賃金のこと。
・都道府県内の事業場で働くすべての労働者が対象。
・各都道府県に1つずつ、47県で定められている。

(2)特定最低賃金
・特定の産業について設定されている最低賃金のこと。
・地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定。
(関係労使の申出に基づき最低賃金審議会の調査審議を経て決定される。)
・全国で227件(令和3年3月末現在)の最低賃金が定められています。

特定最低賃金 地域別最低賃金
役割・機能 ・企業内の賃金水準を設定する際の労使の取組を補完するもの ・すべての労働者の賃金の最低限を保障するセーフティネット
適用対象 ・産業又は職業ごとに適用
※日本標準産業分類の小/細分類ごと
・その産業の「基幹的労働者」に適用
※ 基幹的労働者:当該産業に特有/主要な業務に従事する労働者(基幹的労働者でない労働者の職種、業務を記載するなどにより、それぞれの特定最低賃金ごとに規定されている。)
・産業・職業を問わずすべての労働者に適用
・都道府県ごとに適用
決定方式 ・関係労使の申出により新設、改正又は廃止
・新設、改廃は労使のイニシアティブによる
・行政機関に決定を義務付け
※全国各地域について必ず決定されなければならない
効力 ・刑事的な効力は、最低賃金法にはなし
※労働基準法第24条違反(30万円以下の罰金)
・民事的な効力
※最低賃金に満たない賃金を定めた労働契約は無効
・刑事的な効力(50万円以下の罰金)
※労働基準法第24条違反との関係は法条競合
・民事的な効力(同左)

※参照元③(厚生労働省)から引用しております。

 

私たちHRマネジメント社会保険労務士事務所では、最低賃金の改定にともない、働く方の給与が最低賃金を下回っているか否かだけでなく、労務管理がスムーズになる社内体制や手続きフローなども一緒に「考え・ご提案し・サポート」させて頂きます。総合的にサポートさせて頂きますので、お気軽にご相談くださいませ。

info●hrmng.jp(●を@にしてお送りください)

 

【参照元】

  1. 全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました(厚生労働省 報道発表資料 令和3年8月13日)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20421.html
  2. 最低賃金の対象となる賃金(厚生労働省 最低賃金制度の概要)
    https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-12.htm
  3. 特定最低賃金について(厚生労働省)
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/PDF_1.pdf